★小池博史★演出家・振付家・美術家・作家・写真家

by kikh
 
12/8 職に驚く
 いや、なにも驚くべき事ではないが、改めて実際に立ち会うと驚き、目を見張り、ジッと見てしまった。
 本日は、父の出棺、通夜が営まれたが、これは伊丹十三が「お葬式」という映画を撮ったのを見ても分かるように、かなり面白いというか、たいへん凄みがある。
 まず、葬儀屋が来て、若者の男女二人(どちらも20代だろう)が、いろいろと解説をしたあと、死者となった父のお色直しをするという。20分程度扉を閉め切り、そこで、死者の服を白い帷子に着替えさせ、身体を拭き清め、合掌させる。そこで私たちが入って、経帷子を着たミイラ化したような父と対面するのだが、彼らの死者慣れしている凄さが全身からビンビンに伝わり、参りましたと私は驚愕した。カメラでその姿を収めようと思ったけれど、さすれば当然、母親がギャーギャー言い出すのは目に見えているので、そこはグッとこらえ、そのミイラ化し、痩せこけて帷子を着ている父の姿を見ると、なんとも楽しく感じられて、悲しみよりも不思議さや楽しさや奇怪さにかなり興味を惹かれてしまった。
 死者がひょいひょいと踊り出しそうで、メキシコの骸骨を思いだし、まあ、こんな風に思えるのだから、父親も、それなりに充分に生きたのだろうと思い、ガンガンに明るい音楽でも流したくなったが、やっぱりそういうことでもしようものならば、「世間」を気にする親戚のみなみなさま方に悪いと思い、グッとこらえ、頭の中ではやっぱりマリアッチのような音が鳴り続けていたのであった。
 
 この二人の若者はいったいどういう動機でこの職業を選んだのだろう?たぶん、就職難だったのだろうか?家業ではないようだ。とまあ、いろいろと詮索したくなったが、それも不躾なので、グッとこらえ、それにしても死体には慣れるというけれど、本当に見事なほどの慣れ、見事なほどの手際よさだったのだ。

 まあ、親父も、ケッケッケと笑っているのではないか、と、ずっとそんな声が耳鳴りのように鳴っていた。どんな人生だったのか、興味はあるが、自分を抑えながら、それでいてどこかしら腹の底で笑っているような生だったのではないかという気がする。まあ、ならば、それはそれで良かったのだろう。
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by kikh | 2008-12-09 11:15 | 日々の記録
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