人気ブログランキング | 話題のタグを見る
★小池博史★演出家・振付家・美術家・作家・写真家

by kikh
 
7/12 帰京
 山奥にやってきて、はじめて朝からカラリと晴れ上がった。
 ボクも毎日、身体UPに付き合い、そうするとどうしようもなく身体がなまっているのを実感することになった。はじめた翌日から、筋肉痛に見舞われ、2日後にはピークに達し、すると眠ることすら辛くてできなくなり、であったが、その翌日から身体の痛みは弱まって、次第にからだ全体が爽やかになっていく。食事も普段よりずっと取っていたから、太るかと思いきや、動いているせいか、快適にからだは維持し、飯もうまければ、空気も良い、雨が降り続くのはなんとも嫌ではあったけれど、やっぱり都会とは違って、からだそのものが目一杯の自然の中で喜んでいることを実感する。
 毎年ではあるが、ここに来るとみんな、ノビノビし、野生化する。野性と言ってもまだたいした野性ではないが、確実にたくましくなっていくから面白い。人間のからだは、そんなに簡単には、人工物だらけの中で順応はしないということを実感するのだ。

 今年は毎日、鹿を見、猿を見た。イノシシを見たモノもいる。山奥だからいて当たり前だが、鹿や猿を毎日のようにみかけるということは、わずかに残っている人々の耕す農作物が目当てで降りてくるのだろう。これほど毎日、見かけることはなかったのだ。森もまた、住みづらくなっていることの査証だろう。

 森の中でワークショップを行なう。木からエネルギーを受け取り、移動するということをやってみる。森には都会にはない実に多くの情報に満ちている。それは身体を受容体にしてはじめて得られる情報である。

 家に戻ってくると、父親が長くはないだろうというファックスが届いている。14日に実家戻りをしなければならないなあ、と実感する。

 森では死は日常だ。
 一匹の巨大アリに足をかまれたので、たたき落とすと、そこからは生死をかけた争いが始まった。しばらくして、体長が1/5程度しかないアリがやってきて、その巨大アリを引きずって行こうとしている。実際に30㎝くらいは移動したか。最後の力を振り絞るかのように、巨大アリは、小さなアリに反撃を開始し、戦いを挑み、するとその戦いに負けて小アリは退散する、が、巨大アリもますます弱り、すると再び10分後に数匹のアリに取り囲まれ、攻撃を受ける・・・・・・・こんなことが森にいると面白いくらい次々と起こっている。遠くから眺めている大きな猿。見透かされたようでビクリとするが、森にいる多くの生物を考えると人間は住処に舞い戻らないと恐くて、森にいることができなくなっているのだから、なんとも情けない。

 夜8時過ぎに中野戻り。
 みなで中華料理屋に行く。
 たった一週間であるが、今、ボクは海外のどこへ行くよりも、森から戻った方がずっと東京という街を不思議空間と感じてしまう。それは身体のあり方そのものを問われるからだろう。
by kikh | 2008-07-13 09:33 | 日々の記録
<< 7/15 森と都会 7/9 合宿中 >>


S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
関連リンク