★小池博史★演出家・振付家・美術家・作家・写真家

by kikh
 
2007年 02月 10日 ( 1 )
 
2/8 チチカステナンゴ→パナハッチェル
 朝6時に起きて、ぶらぶらと歩く。まだ暗いうちから開店準備が始まり、動きが出てきていたが、2時間近くぶらついて、一度、部屋に戻り、それから、もともとキチェ族の村だったここがスペインによって滅ぼされ、それでも残った原始宗教の宗教儀式が執り行われるところだというので、行ってみた。
 キチェ族というのがどういう部族なのか、知らない。ただ、この聖典は中公文庫からも「ボボル・ブフー」として出ているそうで、要はチチェ族の生まれる前から、スペインによって根幹を奪われるまでを描いたものらしい。
 小高い丘の上に黒い石が祀られ、ただ、それだけの場所で、宗教儀式を捧げるチチェ族の祈りの響きだけが、小さな声で鳴っていた。火が地面に焚かれ、最初は何十本もの蝋燭が丸く円形に並べられていたが、それらが燃え尽きると、その下にある馬グソのようなものが燃えだし、地面からべったりと火が立ち上っているように見える。それが三箇所、焚かれている。
 あまりにシンプルな黒い石の祠。シンプルさは厳粛さを逆に醸し出す。
 実はこのあとに、チチカステナンゴの別名にもなっているサント・トマス。このサントトマス教会に行ってみたのだが、カソリック、キリスト教のむごたらしさと大げさな身振りばかりが目に付き、キリスト教の問題を強く感じることになっただけに(とは言え、いつも感じるのだが・・)このシンプルさがあとになって、とても印象に残った。
 原始宗教はすべからく、自然・神・精神・肉体がすべて絡み合って息づいている。それらにとって、大げさな宗教施設などは必要としないはずなのである。大げさな宗教施設には、必ず、裏に権力と権力への欲望が渦巻いている。キリスト教信者ばかりではない。イスラムにせよ、ヒンズーにせよ、仏教にせよ、施設は権力の象徴なのである。宗教にとって、それら施設は本来は不必要なものであるはずだ。
 黒い石はシンプルだった。黒い石と火しかない、と言っても言い過ぎではない。だからこそ、余計なモノを纏わず、その空間にぐさりと来る。これぞ、宗教ではないか。

 ここから再びマーケットに行ってみると、その人出は凄かった。うんざりしてすぐに離れ、ホテルに戻って、パッキングし、12時15分発だと聞いた(と言っても安心できないのだが。)バスを待っていると、3分前になってタイヤ交換を始めたではないか。で、結局、そこを離れたのは12時30分。2ブロック走ったところで、止まり、そのまま20分。12時50分出発。1時間15分と聞いていたけれど、実際に着いたのは14時50分であった。まったくこちらの人たちの言うことは全然当てにならない。それにこのローカルバス、ここでは当たり前なのだろうが、どこでも手を挙げれば止まり、言えば降ろしてくれる。そして、半端じゃないほどの混みよう。ふたりがけの座席に三人掛けは当たり前。ドアからはみ出して、乗り続ける車掌。バス内は民族衣装オンパレードであった。

 パナハッチェルは降りてすぐ、ありゃりゃの街であった。白人の観光客ばかりが闊歩している。チチカステナンゴと違って、こちらは観光客の街。それでホテルを探すと高い、高い。エラク高い。とは言え、あくまでもグアテマラ内での話である。絶対に僕がひとり旅では使わないホテルクラスというと3星上以上なのだが、3星上のクラスで50US$である。まあ、別に高くはないが、このグアテマラにしては高い。高すぎる。グルグル回って、US30ドルのところにする。これでも高い。チチカステナンゴより狭い部屋で、チチカステナンゴは14$程度だったのだから。

 それから少し見て回ったが、つまらない街だ。すぐに嫌になる。
 世界で一番美しい湖、アティトラン湖の畔の街、なのだそうだ。
 降りて、ホテルを探していると、突然、「村岡です」と声をかけられる。びっくり。村岡ですと言われても、あんた誰?なんだが、向こうはさも親しげに村岡です、と言っている。もう60は過ぎているだろう。彼が誰かと話をしている間に、僕はさっさと歩く。と、彼は自分の家らしきところに入っていった。その前を通ると、とっても大きな「村岡」の手書きの日本語の表札。「パナハッチェルへようこそ。・・・・・」といろいろ書いてある。そうか、この人はこのパナハッチェルに暮らしている人なんだ、と納得したが、ううむ。何故に、グアテマラ、それもパナハッチェル?ととても不思議な気持ちになった。大きな家だった。いろいろな人がいて、さまざまな生活がある。

 さて、どうしよう。明日はサンティアゴアティトランという街に行こうと思ったが、サンティアゴアティトランから再びパナハッチェルに戻るのは芸がない。思っていたのはサンティアゴアティトランで一泊したいと思ったのだ。が、こちらのローカルバスを乗るのは本当に大変。なぜならスペイン語が不可欠に近いからだ。少しは分からないとヤバイ。どこかで乗り換えなんてなったら大変。降りられない可能性だってなくはない。今日のバスの車掌だって、言い含めておいても、あまりの混雑にそれどころではない。ギュウギュウの中、代金を集め、屋根に登って荷物を降ろし、後ろのドアにピタリと貼り付き、いやいや大活躍である。車掌なしには動かないバスなのだ。

 さて、どうしよう。と、考えあぐねていたが、ここまで来たのだから、少数民族の村を歩くに限ると考え、見て回ると、どうもサンティアゴアティトランばかりではなく、三つの村を船で廻るツアーがあるという。三つ廻っても、ダイレクトにサンティアゴアティトランに行く値段とあまり変わらない。明日、朝8:30~15:30の旅だ。
 となれば、はっきりしてきたのは、明後日の朝にここを出るということだ。
 明後日の朝に出て、グアテマラシティか再びアンティグアへ行こうと考えた。グアテマラシティは行ったことはないが、しかし、結局大都市だ。大都市はどこも大して違いはない。だから、再びアンティグアへ戻ることにした。アンティグアでノンビリするのは悪くない。
 これでグアテマラ内での計画は決まった。明後日、アンティグアには朝11時半に着くだろう。そう、のんびりと遺跡とカフェ廻りでもしよう。

 これを夜、ステーキを食いながら書いている。ステーキやビールを食ったり飲んだりしてはいけないのだけれど、どうもグアテマラは肉食であり、ビールである。肉と豆。確かに、食事はメキシコに似ている。グアテマラからはエルサルバドル、コスタリカ、メキシコ・・どこも遠くない。行きたいが、今回は無理だ。
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by kikh | 2007-02-10 09:48 |


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