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★小池博史★演出家・振付家・美術家・作家・写真家

by kikh
 
12/10 マチネ&映像撮影
 本来は今日と明日はNHKの芸術劇場が撮影する日であった。
 しかし、これが飛んだのは1週間前の事である。突然、なくなった。版権の問題が残っているものを撮影できないというのが理由である。

 問題は「HOG/百年の孤独」は「百年の孤独」なのか、ということである。そうでありつつ、違う。ここが大切だ。名称は同じ名称を使っている。しかし、内容はあくまでも「百年の孤独」からインスパイアーされたものであって、「百年の孤独」ではない。
 そもそも「百年の孤独」などはできっこないのである。あの壮大な小説をいったい、どうしたら舞台化などできるだろうか?しかし、私は「HOG/百年の孤独」は「百年の孤独」だと思っている。なぜなら、その中心に位置する何かを私なりに捉えて、私なりの「百年の孤独」に変容させたからだ。しかし、その変容の仕方は半端ではない。

 だから、NHKの突然の撮影中止はきわめて痛い事態であった。なぜなら、私たちが撮影する準備などはしていなかったからだ。
 しかし、この作品は私の思いがこもっている。それをやはりきちんと残さないと悔いが残る。だから急きょの撮影を佐々木成明さんに頼んだのであった。佐々木君とはもう20年のつき合いになる。何をやりたいかも充分分かってくれている。問題は常に資金ではあるが。

 今日はしんどかった。
 公演後にアップリンクの社長である浅井さんとのアフタートーク。
 それから西日本新聞社の取材。
 それから数カ所の撮り直し。
 もう頭がグラグラだ。

 それにしても素晴らしい感想を寄せてくれたある写真家がいる。今日、見てくれた方だ。名前を伏せて掲載させて頂く。

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小池さん:

何とも味わい深い作品でした。
スタートのハイテクな躍動感は、ディズニーランドのジェットコースターに
始めて乗ったときのようにスリリングで、一瞬にして頭は日常のもろもろから
離脱していました。

ラップは『百年の孤独』の重い部分を払拭してくれました。
舞台に広がる世界は、ある時には自分の近くにあり、またある時には
浅い眠りの最中に見る夢の光景のように感じられるのでした。
もはや、私の身体時計は一定のスピードで音を刻むことを止めて、
魔法をかけられたようにして、直観の嵐が脳裏を駆け巡りました。
けれども、私の眼が追い続けるのは、冷静沈着に繰り広げられる
言語不在の空間マジックでした。
数々の色彩が断片で、または連続性で、関係性の余韻を孕みながら
文句無しのビジュアルセンスで現れては消えてゆきました。
美しい旋律の音楽も、ハートビートな音楽も、物悲しい調べをもつ
音楽も全ては視覚化されて、ある種の映像と化して、優しくそして
激しく、私の胸をうつのでした。
このようにして隔てられた場所にありながら、相手の肉体に触れること
もなく、その舞台上の身体から発散されるエネルギーによって
再構築され可視の世界へと変容する空間が、例えることのままならない
非日常的な速度で、けれども限り無いリアリティを持って迫ってきました。
もう耐えられない...そう思いかける瞬間に世界は変容していきました。
本当にどのくらいの時間が過ぎたのか、舞台を観ている間、私は心の開放感
を感じながらも、自分自身の心の発見をも繰り返していました。
ラストに降った雪は、まさしくピュアホワイトに空間を浄化していく風情の
真白にそ雪は降りける雪でした。けがれのない雪が、限り無い恩情をになって
私の心に音も無く降り積もっていくのを感じた時、涙がこぼれました。
潤沢な知性と、理知的な冒険心を携えた演出家が切り開く地平を、
限り無く純度の高い濾過装置となって見つめていました。
棺に灯る明かりは、魂の再生を意味するのではないかもしれません。
光に包まれた女性の姿も輪廻や再生を示唆するものではないのでしょう。
しかし、私は最後のシーンで、舞台から希望のバトンを渡されたように
感じたのでした。暖かい余韻に包まれるラストシーンでした。

言葉は本当に便利なものですが、体験を言語に置き換えるのは
とても難しいことです。それでも、私の中でこの最初のインプレッション
が変容する前に、小池さんに感動をお話したかったのです。
小池さんの才能に感動し、嫉妬もしました。

東京公演の初日を観た夫も大いに愉しみ、やはり希望を見い出したと
いうようなことを語っていました。
夫は都市の景観と建築を撮る写真家です。

まずは公演のご成功おめでとうございます。 

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なぜ、この文が素晴らしいかと言うと、身体で受け止めることの重要さを感じさせるからである。
昨日書いた朝日新聞の評とは正反対だ。
by kikh | 2005-12-11 03:15 | 演出
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