★小池博史★演出家・振付家・美術家・作家・写真家

by kikh
 
9/2 原稿やらなにやら
 学生たちのレポート採点をしていると多摩美の学生は阿呆ではない、というのが分かってくる。なかなか立派な意見を言う学生たちが多いのだ。
 しかし、普段は喋らない。友達ドオシではすごくお喋りなのに、そうでなくなると喋らない。仲間内でしか喋らないのが通常化している。それは日本の状況そのもので、だから根幹から変えなければならないのだ。

 稽古が休み。よって、原稿数本書き、採点をし、さまざまな雑用をものすごい勢いで済まして、映画を見に行く。「インランドエンペラー」。デビットリンチの映画だ。
 ときどき僕の作品は、作り方は全然違うけれど、見終わった後の感触はリンチの映画に近いですね、と言われる。言われたからと言って別に嬉しくはないし、嫌でもない。どうでもいい。が、リンチは確かに異才である。そしてやっぱり天才なのだ。あの映画は、理屈やストーリーで観ようとすると何が何やら分からなくなる。しかし、感性をフル動員して見ると、非常にすんなりと入ってくる。何も難しくなく、何も不思議でない。リンチ映画を見ると、人の頭脳は、混沌としつつも整序を求め、整序と同時に混沌を求めているのがよく分かる。が、しかし、デビットリンチという人は、こういう映画を相当数の人間たちを動員して作り上げるのだから、その頭脳は混沌として理性的である。そうでなければこのような映画が完成するはずがない。
 つくづくデビットリンチは音の人だと思う。やっぱり耳が良い。耳の良さで、映画を作るのだ。
 この映画がヒットするとは思えないが、でもヒットしていると言われている。それはさ、リンチというネームがなせる業だろう。こういう映画がきちんと評価されるならば、日本も捨てたものではない。そもそも日本には溢れるくらい抽象芸術が多いのだから。
 諸君!リンチを見て、笑いたまえ。ほくそ笑みたまえ。目を伏せたまえ。フェリーにもブニュエル、タルコフスキー、キューブリックも死んでしまった今、期待するのは、と言ってもジイサンだが、やっぱりリンチである。しばらくぶりに映画を楽しめた。今日は。
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by kikh | 2007-09-03 00:37 | 日々の記録
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