昨日、久々に映画を見る。
「ラスト、コーション」という映画。
一部、陳腐な展開はある。あまりに唐突で、どうしてこういう発想が生まれ、それに付いておこうとするのかという不思議がある。しかし、時として意識は時代にリンクし、時代と寝るという形で動く。
時代はさまざまな形で人心に入り込み、巣くい、苦渋と快楽を味合わせる。
日本統治下の香港と上海の物語だが、その隙間に巣くう人々のひとつひとつの選択が少々陳腐でありつつ、悲しみを帯びている。しかし、陳腐さは実は日常の私たちの選択と繋がっているとつい思ってしまう。熟慮した選択ではなく、そのときの気分による支配。
良い映画であることだけは間違いない。人の顔を見ているだけで楽しめるし、主人公の女の化粧しているときと化粧を取ったときの差が、なんとも強く心をえぐってくる。そのエグサが、この映画の素敵さである。
NHKラジオのラジオ深夜便という番組のプロデューサーと「人の本気について」という話をしたすぐあとだったので、特に「人」の残像ばかりが残った。
今年、7月頃に、一週間くらい収録した僕の声が流れることになりそう。